2007年夏、東京都現代美術館で開催され、大きな話題を呼んだ『ジブリの絵職人 男鹿和雄展』を、九州では初めて、長崎で開催することになりました。
男鹿和雄は、アニメーションの美術という仕事において、その作品の舞台となる背景画を数多く描き続けてきました。特にスタジオジブリ作品では、「となりのトトロ」(1988年)の美術監督として初めて映画作りに参加し、昭和30年代の日本の澄んだ空気を鮮やかな色彩で表現するなど、かの名作を生み出す重要な役割を担いました。その後も、「おもひでぽろぽろ」(1991年)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994年)、「もののけ姫」(1997年)といった多くの作品に美術監督や背景スタッフとして携わり、数々の名シーンを支える背景を描いています。木立の一本一本にまで及ぶ入念な観察と卓越した技術で、光や天候の変化、四季の変化、空、雲、田園といった自然の色彩豊かな表情を捉える彼の背景画は、私たちの遠い記憶の中にある原風景を思わせます。
本展では、スタジオジブリ作品はもちろん、男鹿和雄がこれまでに携わった数々のアニメーション、詩集や絵本のために描いた挿絵に至るまで、本来は資料として保管されてきた背景画や美術ボードなど約600点を一堂に公開します。