「こねこのぴっち」「たんじょうび」「ブレーメンのおんがくたい」「長ぐつをはいたねこ」など、楽しい絵本で子どもたちに愛されている絵本作家ハンス・フィッシャー(1909-1958)。スイスのベルンで生まれ美術学校で装飾画・版画を学んだ後、パリに渡り働きながら絵を学びました。帰国後、ショーウィンドウの飾り付け、舞台美術、新聞のカットなどいろいろな仕事をしましたが、もともと体があまり丈夫でなかったため過労で倒れてしまいます。療養を兼ねて家族と共に郊外に引っ越し、釣りをしたり植物のスケッチをしたり、子どもと遊ぶなど静かな生活を送るなか、長女ウルスラのために描いた「ブレーメンのおんがくたい」で絵本が自分の芸術を表現するのに最適なものだと感じました。その後、長男カスパールには「いたずらもの」を、末女アンナ・バーバラに「たんじょうび」と「こねこのぴっち」を作りました。子どもたちのために作られた絵本は父親の心情がこもった楽しい愛らしい作品で、豊かな表現力・踊るようなリズミカルな線が特徴です。本展は2009年1月6日で生誕100年になるフィッシャーを記念し、自由な心をもつ芸術家の全貌に迫ります。