大航海時代以降、西洋社会では新たに知り得た地理知識をもとに、数々の世界図や地域図が矢継ぎ早に作成されてきました。
数世紀の歩みのなかで作成されてきたヨーロッパの地域図はさておき、アジアや日本を描いた地図のなかには情報だけが先行して、実地調査を伴わない地図が大半だったことも事実です。そのため、日本の形態一つを採ってみても、同時代でありながら、様々な姿を見出すことができます。一見すると、不思議な形態もありますが、これらの地図をもとに当時に想いを馳せたり、考えたりすることが、地図を観る楽しみの一つといえるでしょう。
そして、当時の地図には、単に大地の形態を描くだけにとどまらず、地図のまわりや内部に様々な情報が盛り込まれたり、装飾が施されたりもしています。これらは、その地域の理解を図る一助となっていたと思われます。また、「これ何だろう?」という疑問を持つ空想上の動物も多く描かれています。
今回の企画展では、これらに焦点をあてて、16世紀から18世紀の西洋古版地図を中心に紹介します。