昨今の「和ブーム」を背景に、アンティークきものが若い女性を中心に流行しています。大正時代や昭和前期のきものにみられる大胆な色彩やデザインは、現代の私たちの眼をも満足させる新鮮な魅力にあふれています。
明治時代のきものは、小さな植物や風景などの模様が襟下から裾にかけて配され、地色も黒、藍、鼠、茶系など渋く地味な印象のものが多くみられます。
つづく大正時代には、「大正デモクラシー」に代表される民主主義の意識と自由な気風を背景に、「大正ロマン」と称される華やかな色調、絵画的な表現のきものが流行します。
また昭和時代前期には、新たにアール・デコの影響を受け、幾何学的な地文や明快な色彩表現を特徴とするモダンなデザインのきものが生み出されました。
明治維新後、洋装化が進むなかで、洋服にはない独自の伝統美を継承しつつ、西洋の新技術や美意識を取り入れながら、新たな魅力を創造していった近代のきものの世界をお楽しみください。