風呂敷や着物のコレクターとして知られる三瓶清子さん(郡山市在住、昭和五年生まれ)は、半世紀もの間ふるい布に愛情を注ぎながら、その役立て方にも心を砕いてきました。このたび、三瓶コレクションの中から、人々の暮らしと結びつきの深い、明治から昭和初期にかけての様々な布の世界をご紹介いたします。今では大変貴重になった苧麻(からむし)の着物、木綿の晴着や風呂敷、余り糸で織り上げた「やたら織」の布などには、無名の作り手による手仕事の妙と無心の美が宿っています。そして、大切な布を最後まで使いきろうとする、人々の工夫とセンスを感じ取ることができます。本展では、様々な小裂れを縫い寄せた袱紗や着物なども併せて約150点を展示いたします。時を越え、かたちを変えてもなお、様々なものがたりを紡いでいる布の魅力をぜひご堪能ください。