今日、デジタル機器の発達も手伝って、言葉やイメージを切り取ったり、貼り付けたり、合成したりすることは、私たちの日常で非常に身近なものになってきています。
美術においては、たとえば写真、新聞からとったイメージや文字などを、もとの文脈から切り離して、組み合わせる手法を、フランス語の「coller(糊で貼り付ける)」を語源とする「コラージュ(collage)」という語で呼んでいます。
20世紀に入り、ピカソやシュヴィッタース、エルンストといった前衛的なアーティストが、この手法を積極的に採り入れます。必ずしも絵筆を握る必要がなく、異なる材質や要素の画面での混在を可能にするコラージュは、「既成概念(たとえば描写技術に支えられた絵画)」や「伝統的な視覚(線遠近法に基づく均質な絵画空間)」に、大きな揺さぶりをかけることになったのです。
このように、イメージを破壊しつつ、新たな創造に結びつけるコラージュの手法や発想は、今日にいたるまで多様で豊かな表現を生み出し続けています。この展覧会は、コラージュが切り拓いたさまざまな展開の一端を、所蔵作品約30点を通して見ていこうとするものです。