斎藤が最初にふるさと会津の風景を美しいと感じたのは秋の季節だったといいます。年齢を重ねる毎に募る望郷の念と衰えることのない探究心が画家の足を会津の奥地へと運ばせました。秋の香りを帯びた清々しい風がススキを揺らし低い空に絹糸の雲を形づくる。古民家の土壁と蔵の白壁は美しい対比を成し、風景へと溶けいる。〈柿の会津〉は山村の民家が会津路の雄大な山々を背景に風格と静かなたたずまいを見せ、曲線を描き伸びる枝に生る柿の朱が時を止めた風景を照らします。また〈稔りの会津〉は金色に輝く稲穂がキルトのパッチワークのように広がりタデの花が赤く彩りを添えます。
今展では「斎藤清 秋の会津路」と題し、柿の会津シリーズ、稔りの会津シリーズを中心に展示ご紹介いたします。是非、ご鑑賞ください。