京都・清涼寺の釈迦如来像を典拠とする、いわゆる清涼寺式として知られる称名寺釈迦如来像が、徳治三年(1308)に造立されて700年を記念し、その造像の背景を関連する仏像や仏画、古書・古文書から明らかにします。展示は三部構成となり、題一部では、南都やその影響を受けた鎌倉の釈迦信仰について、清涼寺式釈迦如来像への信仰を中心に検討します。第二部では、北沢北条氏三代所縁の称名寺釈迦如来像の造像背景を関連作品から探ります。そして第三部では、釈迦とその遺骨である舎利への信仰が、未来仏である弥勒信仰へと展開することを、近年の修理により新たな知見を得た称名寺光明院所蔵・弥勒菩薩坐像を中心に検討します。
また去年2月に約50年ぶりの仏師運慶の真作発見となり話題となった、称名寺光明院所蔵の大威徳明王像は、本年7月に重要文化財に指定されました。これを記念して特別展期間中に、大威徳明王像と文庫保管の運慶関係資料を同時特別公開いたします。