今回の展覧会では、当館のコレクションの中核をなす日本近代洋画のうち、大正期から昭和初期に光を当てて、さまざまな潮流を汲んだ多様な作品を展示いたします。この時代は幕末から明治初期に移入された「洋画」が根付き、その技法をもって幾多の画家が西欧の新しい動向を身につけたり、日本の風土のなかで自らの絵画を模索したりと、それぞれの道を切り開きながら個性を多彩に花開かせた時代です。
官展のアカデミズムに対抗し、フュウザン会や二科展で活躍した萬鉄五郎、岸田劉生、関根正二。ドイツやフランス、アメリカなど、海外で同時代の表現を体得した村山知義や梅原龍三郎、国吉康雄。そして、昭和前期の古賀春江や前田寛治、三岸好太郎から、松本竣介や麻生三郎といった戦中と戦後をつなぐ画家約40名による、約60点を展示いたします。