「栴檀(せんだん)は双葉(ふたば)より芳(かんば)し―才能のある人は幼い(若い)頃からそれが現れる」ということわざがあります。
当館所蔵の近代日本画作品には、川合玉堂《孟母断機》や小林古径《神崎の窟》など、著名な画家たちの初期~比較的早い時期のすぐれた作品が含まれ、この言葉が本当であることが実感されます。
この展覧会では、こういった当館コレクションの特徴に注目し、画家たちが二十~三十歳代で制作した作品を紹介します。あふれんばかりの若々しい才能が頼もしい二十歳代の作、画風模索の跡がうかがえる三十歳代の異色作、若くして亡くなった画家の早すぎる晩年作など、円熟期の完成された美とは異なる味わいを感じていただきたいと思います。
また、板谷波山・田村耕一ら陶芸家の初期作もあわせて展示いたしますので、お見逃しなくご覧ください。
さらに「小特集」として、地元ゆかりの塚原哲夫・松本哲男・島田文雄の二十~三十歳代にも注目し、各作家三~五点ずつご紹介します。当館で普段ご覧いただいているものとは異なる作風に、画家たちの新たな魅力を見出していただければ幸いです。