「MIMOCA'S EYE」とは、当館設立の礎となった猪熊弦一郎が当館の果たすべき使命として掲げていた「若手作家の育成」という意思を受け継いで、新進気鋭のアーティストを紹介する展覧会シリーズです。なお、第1回「野口里佳展[予感]」では、同展が野口の芸術選奨文部大臣新人賞の受賞理由になるなど、作家の次なるステップに大きく寄与する展覧会シリーズとなっています。
第2回の「MIMOCA'S EYE」となる本展では、アーティスト小金沢健人を紹介します。1974年、東京に生まれた小金沢は武蔵野美術大学で映像を学び、在学中によりビデオによる映像作品の発表を始めました。大学卒業後はドイツに渡りベルリンんを拠点に活動を続け、その独特の鋭い映像感覚がヨーロッパ、アメリカを中心に高い評価を得ました。その後、彼の表現媒体は映像だけに留まらず、次第にドローイング、パフォーマンスといった領域へと拡がっていきます。さらに近年ではネオン菅などさまざまな素材を用いたインスタレーションへと、彼はその表現の媒体や手法を拡張し、同時にブラジルやインドなど世界各地で滞在制作・発表を行うなど、多彩で複合的な作品群とその旺盛な制作活動によって、現在もっとも注目を集めるアーティストの一人と目されています。
小金沢は、身のまわりにあるありふれたものを作品の素材として用いながら、そこに意表をつく方法で手を加え、動きや音などと組み合わせることで、日常の中に潜む謎や美しさ、おかしみを現前させます。彼の作品では、このようにさまざまな要素が重なり合い、その独特の多相的かつ重層的なリズムは、観る者に新鮮な驚きや心地よい刺激を与えるはずです。
小金沢健人にとって国内の美術館で初めての個展となる本展は、当館展示室の建築空間を活かした新作インスタレーションを中心に構成します。待望の新作を核にすることで、次々と新たな表現手法に挑戦し、活動の領域を拡げている気鋭のアーティスト小金沢健人の現在の姿を紹介し、今後の新たな展開を予感させるものとなることでしょう。
また、本展では、オープン・アトリエやワークショップ、展示制作プログラムなど、地域住民や子どもたちを主な対象とした参加型の関連プログラムを実施し、アーティストとの交流の場を提供することで、現代美術の魅力をより多くの人に伝え、展覧会への関心を高めることを目指しています。