ウシと人とのかかわりが遥か悠久の昔にさかのぼることは、旧石器時代のアルタミラやラスコーの洞窟に描かれた野性のウシなどからうかがい知ることができます。壁画は狩猟の成功への祈りだったのでしょう。
また、農耕が始まると、狩猟の対象としてのウシは、犂(すき)を引き耕地を耕す労働力の担い手として重要な役割を果たすようになりました。すでに8000年程前にはウシは家畜化されていたといわれます。また、精神生活のうえでも、ウシは豊穣のシンボルとして崇拝の対象となっていきました。
こうした長い歴史を経て、現在、人々の生活の中にはさまざまなウシの造形をみることができます。
今回の展覧会では、丑年にちなみ、牛皮でつくられた影絵人形などの海外の資料や、赤べこ、撫(な)で牛といった身近な資料のほか、古代中国、オリエント考古資料など、古今東西のウシを一堂に会しました。
様々なウシの造形をお楽しみいただくと共に、展示品から改めてウシと人とのかかわりの空間的広さや歴史的悠遠性を感じ取っていただければ幸いです。