1991年にガラス専門美術館として開館し、これまで約300点の作品を収蔵してきました。コレクションの内訳は、20世紀の巨匠たちがデザインしたガラス彫刻、中国の清時代に製作されたガラス工芸、国内外で活躍するガラス作家の現代作品に大別することができます。これまでにも、これら収蔵品を定期的に紹介してまいりましたが、本年度は収蔵品を2回にわけて特集展示します。今回は、その第2弾として中国清朝のガラス工芸をご紹介します。
中国でのガラス製造の歴史は紀元前まで遡ります。その長い歴史の中で、国外のガラス製造技術を取り入れながらも、陶磁器や玉器など国内の諸工芸の影響を受けつつ、独自のガラス工芸が生まれました。清朝(1644~1911年)のガラスは、清朝第四代皇帝の康煕帝(在位1661~1722年)が宮廷内にガラス工房を築き、宮廷で使用するガラスを作らせたことによって急速に発展しました。第六代皇帝の乾隆帝(在位1736~95年)の時代には最盛期を迎え、色鮮やかで重厚なガラスに研磨や彫刻をほどこした華麗なガラスが製作されました。中でも、異なる色ガラスを層状に重ねて吉祥文様などを浮彫りにしたガラス(被せガラス)は、その代表的なものです。
本展では、被せガラスをはじめとする様々な色ガラスを用いたガラス器、ガラス製装身具、嗅ぎ煙草(粉末状にした煙草の葉と香料を混ぜたもので鼻から吸い込む)を入れるガラス製鼻煙壺など、収蔵品約140点を一挙に展示します。