新春1月2日から開催される企画展、「特別公開 ボッティチェッリ《聖母と天使》イタリア美術とナポレオン」には、初期ルネサンスの巨匠ボッティチェッリとベッリーニの聖母子像をはじめ、17世紀・18世紀イタリアの宗教画も多数出品されています。
企画展に合わせて版画展示室では「聖なるものへ~ルドンとルオーの世界」と題し、聖書の主題に基づいたルドンの「ヨハネ黙示録」とルオーの「ミセレーレ」「受難」の中から、約30点の作品をご覧いただきます。
オディロン・ルドンは、1840年フランスのボルドーに生まれました。版画家としてニュアンスにとんだ黒の世界の中に夢と神秘、情緒を象徴主義的に表現しました。「黙示録」は、キリスト教の正典である新約聖書の最後に収録されている予言書です。キリストの弟子であるヨハネの見た世界の終末に関わる幻視が著されているとされています。ルドンはその摩訶不思議な世界を、表紙を含め全13枚の石版画に表現しました。深々とした漆黒の向こうから差し込む超自然的な光の中に浮かび上がる神秘的な世界が印象的な「ヨハネ黙示録」を全点まとめて展示します。
また、ジョルジュ・ルオーは、1871年パリに生まれました。ステンド・グラス風の太い黒の線で輪郭を描く特有の重厚な筆触で、宗教画の傑作を数多く残しました。ルオーは、キリスト教の信仰を題材にした宗教詩人アンドレ・シュアレスの詩に基づいて、「ミセレーレ」と「受難」の2作の版画集を制作しました。深遠な聖書の一節などとともに、この世の有様がルオーの目を通して描かれています。敬虔なキリスト教徒でもあった作家の祈りが伝わってくるような清らかな作品の数々をお楽しみください。