今年は洋画家中間冊夫(1908~1985)が生まれて100年目にあたります。本展ではそれを記念して、鹿児島市立美術館所蔵になる油彩画9点とデッサン15点を紹介します。
中間は明治41年、南さつま市に生まれました。15歳で上京した後、川端画学校で洋画を学びます。昭和5年の第5回1930年協会展では、初出品にしてH氏奨励賞を受賞します。翌年、1930年協会が独立美術協会に改まると、その第1回展から出品を続け、以後同展を主な発表の場として制作活動を行います。また、昭和32年からは武蔵野美術大学で教鞭を執り、多くの後進を指導しました。
中間は、独立美術協会の特徴であるフォーヴィスム(野獣派)のスタイルを基礎としながらも、人間存在の深みに肉薄する内省的な人物像を描きました。その重厚で緊張感をたたえた作品群は、今なお私たちの胸に迫るものがあります。この機会に是非、中間冊夫の魅力に触れていただければ幸いです。