マルク・シャガール(1887-1985)は、ヴィテブスク(現ベラルーシ共和国)のユダヤ人地区
に9人兄弟の長男として生まれました。サンクト・ペテルブルクの美術学校を経て、パリに出ます。1914年に故郷ヴィテブスクに戻り、最初の妻ベラと結婚。第一次世界大戦とロシア革命の間はロシアにとどまることになりますが、1923年にベルリンを経てふたたびパリに戻って制作します。ナチスによるユダヤ迫害のためアメリカに亡命するなど時代に翻弄されますが、1948年にフランスに帰り、画家として97年の生涯を送りました。
女性像や浮遊する恋人たちや動物など、幻想的で親しみやすいモティーフを繊細な色彩で表現し、私たちを夢幻の世界へと誘い、その作品は国内外で広く愛されています。
本展は、シャガールのコレクションで知られ、1,200点を超すシャガールの版画作品を所蔵する高知県立美術館の所蔵作品より、約250点を選んで展観いたします。初めての連作版画『我が生涯』(1922年)、初めての本格的カラーリトグラフ『アラビアン・ナイトからの四つの物語』(1946-48年)-これは、特装版10部、非売分のみに付く13枚目の作品に各作品の段階刷りを備え、「幻の版画集」とも呼ばれるもので、今回は、13枚の作品と段階刷り1セットを展示します。手彩色による『ラ・フォンテーヌの寓話』(1927-30年制作、1952年刊行)などの連作版画・挿画本による一連の作品群に加え、ポスターや独立の作品を通じて、シャガールの世界をご堪能ください。