このたび、九州国立博物館では日本の伝統工芸をテーマとした展覧会「工芸のいま 伝統と創造 - 九州・沖縄の作家たち」を開催いたします。
1950年(昭和25年)、文化財保護法の制定によって演劇、音楽とともに日本の伝統的な工芸技術が無形文化財として保護されるようになりました。1954年(昭和29)にはいわゆる「人間国宝」の認定も始まりました。以後、日本の伝統工芸は、豊かな技を伝えながら、新たな創造を積み重ね、半世紀という時を越えてきました。
日本の中でも、九州・沖縄は工芸が盛んな地域として知られています。こうした地にある館として、当館は国立博物館では初の試みとして、さらには九州の地としても初めてとなる現代の作家たちによる伝統工芸を真正面から見すえる展覧会を企画いたしました。
この展覧会では、陶芸、染織、木竹工、人形、漆芸、金工、諸工芸という分野から、7人の人間国宝を含む137人の作家による作品が集いました。すべてが2000年以降の作品という「工芸のいま」にふさわしい作品群が皆様をお待ちしています。第二部は九州・沖縄の工芸を育て、支え、あるいは影響を与えてきた人々がテーマです。20人の人間国宝を含む24人の作家の作品は、現代の伝統工芸の歴史であるとともに精華といえましょう。
伝統の技と新たな創造の波が作り出した「工芸のいま」。現役の作家による九州・沖縄の工芸のひとつの到達点をここにご覧いただくとともに、第二部では現代日本が作り上げてきた伝統工芸の精華をご鑑賞下さい。そして工芸の明日へ思いを育んでいただければ幸いです。