戦国大名北条氏は、初代早雲以来、5代100年にわたり関東制覇を目指しました。その成長の過程で、検地の実施、印判状制度の確立、税制の改革など、他の戦国大名と比較し先進的な制度を導入しながら、3代氏康の頃には関東最大の大名となりました。しかし、天正18年(1590)、5代氏直は全国制覇をめざす豊臣秀吉と小田原城で3ヶ月に及ぶ籠城作戦を行い降伏し、ここに戦国大名北条氏は滅亡しました。
北条氏の盛衰の様子を今日に伝えるものとして各種の文書があります。現在、当館には北条家文書、本光寺文書、帰源院文書、桜井家文書など約70通を所蔵します。北条氏の文書といえば「虎の朱印」が知られていますが、その他、一族が使用した印象を含めると30種に及び、この点でも独自の存在といえます。この特別展では、北条氏関係文書の他、徳川家康が北条氏規に宛てて記し血判を押した文書、豊臣秀吉が小田原攻めの様子を細かく伝えた書状など、歴史的人物の自筆文書も展示します。また文書と関連をもつ絵画、金工、彫刻などの関連作品を展示し、文書に記された世界を立体的に復元します。