柳ヨシカズは、美術館や画廊で絵画を見るときに、完全か不完全かを意識すると言います。彼は、自身の作品にも、自らが思う“完全“を求め、構図や色彩にこだわって作品を制作しています。
現在、制作のテーマにしているのは、“シンメトリー”。ウサギと花、少女と花など、2つ以上の素材を左右対称になるよう加工したモチーフを、キャンバスに描いています。さらに、複数の素材を組み合わせることにより、かわいらしさに幾何学的な要素がプラスされた作品となっています。形は“完全”な左右対称ながら、実在のウサギや少女とはかけ離れた“不完全”な姿が生まれる作品には、「完全な絵画とはなにか」という、自分自身への問いが込められているかのようです。
当画廊で初個展となる今回は、新作ペインティング約15点をご紹介します。2008年に出品したアートフェアで現代美術ファンを唸らせた彼の作品を、この機会にぜひご覧ください。