古来より日本人は日々の暮らしの中で様々な美を生み出してきました。中でも、複雑な地形と四季の変化が生み出した種類豊富な「木」は、生活の必需品として、また美を創出する為の欠かせない素材として大変親しみ深い存在でした。しかしながら、今日ではプラスチック等の人工素材の普及で「木」と身近に接することが少なくなり、次第に遠い存在になりつつあります。
本展は、優れた「木」造形技術のある静岡という地の利を生かし、様々な木造形作品を展開する造形家・杉山明博氏の家具・あかり作品により、過去(伝統)を振り返り、現代、そして未来に活かせる「木」の可能性を示すと共に、「木」と共に在る心豊かな暮らしの提案を行うものです。
また、子どもに対する深い愛をもって制作された、遊びと学びが共存する「木」の玩具作品も数多くご紹介します。乳幼児からの成長に併せた様々な展開が可能な「木」の創具は、触覚や視覚、嗅覚、聴覚などあらゆる感覚に作用し、心身共に豊かな発育を促すものです。
「木」のぬくもりを五感で体験し、幅広い世代が改めて「木」と出会い、発見し、豊かな心を育む機会となれば幸いです。