大道あやは、1909年、広島県に生まれ、第二次世界大戦を経験し、波瀾万丈の半生を送りました。母の丸木スマ、兄の丸木位里はすでに画家として活躍していましたが、大道が絵筆をとったのは相次ぐ困難に直面し生きる気力を失っていた60歳のころでした。
以後、ともに暮らす生きものたちや季節をいろどる庭の花々などの身近な存在を主人公にして大胆かつユーモラスに描き、魅力あふれる絵本も手がけました。また、自分がけとばしたらできてしまうほどの小さな山だから、と親しみを込めて名付けた「けとばし山」のふもとに居を構えてからは、畑仕事などをしながら穏やかな気持でのびのびと制作にとりくんできました。
本展は、来年の大道生誕100年を記念して開催する、初めての本格的な回顧展です。院展や女流画家協会展に入選した佐喜眞美術館所蔵の日本画作品をはじめ、『こえどまつり』(世界絵本原画展優良賞)などの絵本原画、資料もあわせた約140点を展示します。ときに優しく、ときに厳しくいのちを見つめ、まっすぐに表現した大道あやの世界をお楽しみください。