本年は、益田鈍翁(1848~1938)の生誕160年、没後70年にあたります。近代日本の経済基盤を築いた鈍翁は、近代茶の湯界の重鎮としても大きな役割を果たしました。そして当館創設者、畠山即翁もまた多大な影響を受けた一人でした。鈍翁と即翁の年齢差は34歳あり、即翁は鈍翁から実に多くのことを学んだといいます。一方の鈍翁も即翁に心尽くしの深切を示しました。この度の展観では、両者の心温まるエピソードとともに、鈍翁の遺愛品や自作の書画、茶道具、好み物をご覧いただきます。近代数寄者のすがたを今一度ふりかえる機会となれば幸いです。