今から100年前、アルフレッド・スティーグリッツが写真独自の芸術性を主張して以後、写真は芸術の一分野として徐々に認知されていきました。
言うまでもなく写真は実用的な媒体であり、芸術作品のみに限定できるわけではありませんが、1940年ニューヨーク近代美術館に写真部門が創設されて以来、世界中の美術館が、芸術の視座から写真作品を収集してきました。
キャパやカルティエ=ブレッソンのように、撮影時は報道目的であった写真の一部も、現在では美術作品として鑑賞する目的で美術館に収蔵されています。
「20世紀の写真」は、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、国立国際美術館の3館が所蔵する写真を中心に、千葉市美術館の所蔵品も加え、20世紀の写真芸術の流れを回顧する展覧会です。
スティーグリッツ、アジェ、マン・レイ、アンセル・アダムス、キャパ、カルティエ=ブレッソンら時代を代表する写真家の作品をはじめ、世界と日本の写真家80余名による約180点が出品されます。
世紀の変わり目のフォトセセッションから、1920年代のアヴァンギャルドを経て、アートと写真の境界線が限りなく希薄になった現代アートの写真まで、国立美術館所蔵の名品により写真芸術の100年を通観いたします。写真の展覧会は初めてという方や若い方にも、ぜひご覧いただきたい展覧会です。