カミーユ・ピサロ(1830-1903)は19世紀後半に活躍したフランス印象派の中心的な画家の一人で、豊かな田園風景の美しさを見つめ、その輝きをカンヴァスに映し出しました。彼は1874年から1886年にかけて全8回開催された印象派展すべてに参加した唯一の画家であり、セザンヌが「何かしら神のような存在」と称したように、グループの指導者として多くの画家と親密な交流を結び新しい絵画の手法につながる示唆を与えています。
本展は、イギリス最古の美術館であるオックスフォード大学・アシュモリアン美術館のコレクションから、ピサロの作品を中心に、ピサロの作風に影響を与えたコロー、ミレードービニーなどバルビゾン派の作家たち、クールベ、マネ、ルノワールら親交のあった同時代の画家たちの作品、そして、ピサロに教えを受けたピサロ家の子供たちの作品など約90点を紹介します。大地の内なる声に耳を傾け、光を画面いっぱいに受け止め、自然への讃歌を高らかに謳い上げた「大地の画家」カミーユ・ピサロとその仲間たちの珠玉の作品の数々をとおして、画家を戸外へと解き放ち、西洋の絵画を一新した印象派の魅力をお楽しみください。