19世紀後半、パリはセーヌ県知事オスマンによる大改造計画のもと、都市部が拡大しました。上下水道や街灯も整備され、薄暗く不衛生なパリから現在の優美なパリへと変貌を遂げました。マネやドガをはじめ、メリヨン、ブレスダン、ギースなどの画家・版画家たちは、古いパサージュや、新しく生まれ変わっていく街並みを徘徊し、それぞれが独自の「近代的」視点から都市の中のつかの間の情景をとらえ描きました。ブルジョワ的であれ、ボヘミアン的であれ、古きパリを懐かしんだり、近代化するパリに新しい主題を見いだしたり、芸術家の関心は様々です。彼等の作品をとおして、時には写実的、時には非現実的で不思議なパリの風景と、そこに生きる芸術家たちや人々の生き生きとした生活をかいま見ることができるでしょう。