色絵磁器とは、1350℃前後で本焼きをした白磁胎の上に様々な顔料で文様を描き、900℃ほどの低火度で焼き付けたやきもののことを指します。赤、黄、緑、青、紫。うつわを鮮やかに彩る色絵は、伊万里焼においては1640年代に現在の佐賀県・有田で生み出されました。柿右衛門家伝来の文書『覚』によると、初代柿右衛門が、正保四年(1647)の少し前に中国人から技術を伝授され、試行錯誤した結果、開発に成功したと書かれています。伊万里焼が焼かれ始めたのは1610年代とされているので、ほんの30年余りで色絵の技術が生まれたことになります。しかし、一言で「色絵」といってもその様式は幅広く、複雑で華麗な変遷を遂げます。濃厚な色彩で躍動感ある古九谷様式に始まり、余白を巧みに用いた柿右衛門様式、ふんだんに施された金彩が元禄時代のにぎわいを感じさせる金襴手様式。古伊万里はその目的や用途、また流行に応じて多様に変化し、華々しい展開を繰り広げます。
今展示ではこの古伊万里・色絵磁器に的を絞り、厳選した約100点を出展いたします。古伊万里色絵磁器の見目麗しい色彩美の変遷をご堪能いただきたく思います。