私たちは古来より埴輪や土偶に始まり、仏像や人形など、人を模したかたち、人のようなかたち、もしくは人になぞらえたかたちの像に向き合ってきました。近代に入るとそうした具象的造形物のあるものは、西欧の美術概念や価値基準に照らし、「彫刻」と呼ばれ、「置物」「人形」「工芸」などと区別されていきます。しかし、その後も様々な領域で人間や動植物などをモチーフにした表現に取り組む作家たちの活動は続けられ、殊に近年、人工物のイメージをも含めた具象的な像が改めて注目されています。
本展では、旧来とは異なる造形史観に基づき、人らしきもの、生き物らしきもの、擬人化されたもののイメージを借りて表現される現代の像が志向するものを、幅広い世代の作家たち6人の作品約50点により紹介いたします。