向井潤吉(1901~1995)は京都市に生まれ、関西美術院に学びました。1920年に二科展に初入選後、1927年に渡欧、ルーヴル美術館で模写に没頭し、技法、表現の研究を重ねました。1930年には樗牛賞を受賞し、1933年からは、東京都世田谷区にアトリエを構え、制作拠点とした。そのアトリエは現在、向井潤吉アトリエ館となっています。1937年からは陸軍報道班員として、戦争記録画の制作にも従事し、1945年には行動美術境界の創立会員となります。戦後は高度経済成長の中、失われていく風景を記録していく風景を記録していくことをライフワークとして茅葺屋根の民家をモチーフに日本全国の風景を描き続け、1959年、再び渡欧し、ヨーロッパ各地を写生しています。
1995年に93歳で亡くなるまで日本の原風景を描き続けた画家です。今回、対象8年(1919)から平成元年頃までの作品を展示し、里山の風景と調和し、見る者を惹きつけたその一貫した思想や表現力の秘密を世田谷美術館が所蔵する作品群によって総合的に回顧し、画家の魅力と生涯を探ります。