1981年11月に開館した宮城県美術館は、総合的な県立美術館としては東北で最も早く設立され、これまで後進の美術館の先頭に立ち美術館活動を展開してきたといえましょう。同館は、美術品収集においては、その基本方針のひとつに「日本美術については明治時代以降の近代美術」をかかげて収集を重ねて現在にいたっています。その成果は、日本洋画では明治初頭を飾る高橋由一の「松島図」をはじめ、日本の近代美術史上に大きな足跡を残した岸田劉生、梅原龍三郎、三岸好太郎、松本竣介、萬鉄五郎、中村彜、鳥海青児、海老原喜之助らの作品群でよく知ることができます。
今回の展覧会では、このように同館が30年近くの長きにわたって収集してきた所蔵品のなかから、日本の近代洋画壇を彩る名品と、特別出展としてヴァシリー・カンディンスキーの作品2点を加え、総計59作家・60点の洋画作品を展示するものです。
宮城県美術館の洋画作品が他館を会場にこれほどの規模で展示されるのは今回は初めてです。その展示構成はコレクションを総括するようになっておりますので、多くのかたがたが近代洋画の軌跡をたどりながらご鑑賞いただけるものと思います。この機会に、一堂に会した近代洋画の名作をお楽しみください。