「子どもの表現、大人の表現、作家の表現」・・・同じように、色と形と素材によって構成された表現であっても、これらは往々に違う次元のものと捉えられがちです。特に、子どもの表現に対しては、芸術上の意識や知識、継続性などが不足しているために、芸術表現とはみなさないという意見があります。確かに、芸術、特に近代における芸術表現は、作り手の芸術意識によって成立しているという要素が強く、同時に、鑑賞する側にも同一の意識を要求することがあります。
一方、子どもの表現は、創造性の源泉からほとばしり出るような、真に自発的で独創的な作品を生み出す場合があります。そしてまた、鑑賞する側の意識の有り様によっては、その作品からインすピレーションや感動を得ることができるのではないでしょうか。
子どもの表現とは何ものなのか。そこから生み出される作品は、芸術か否か。展示環境を整えることで、鑑賞する側の意識に何らかの変化を与えることが出来るのか。このような疑問が、この展覧会を企画するきっかけとなりました。本展では、美術館の展示環境の中で、子どもたちの作品を当館の収蔵作品と一緒に展示し、両者のそれぞれの魅力を引き出そうと試みます。
絵画、本のオブジェ、彫刻など、うらわ美術館のコレクション約50点と、未来を担う子供の作品やく100点を同時に楽しんでいただくことを通して、芸術表現やそこから生み出される作品の価値を問いかけようとするものです。