源氏物語とゆかりの深い「香り」にまつわるデザインの世界を紹介します。江戸初期の文芸復興で源氏物語が再評価されるなか、香道の世界でも「源氏香」というすぐれた組香(競技形式で香木の香りを聞き分ける式法)が考案されました。その答を表した図形「源氏香の図」は今日でも古典文様として知られ、やきものや漆工芸、染織、錦絵、和菓子など、さまざまな分野で用いられています。日本人の感性が育んだ源氏物語と香りの世界をお楽しみください。
併せて、現代京都画壇の作家54人が、源氏物語の世界に取り組んだ作品群を一堂に展示します。これらは、平成3年に当館にて完成記念の披露をされたもので、平成20年の源氏物語千年紀にちなみ、このたびあらためて紹介するものです。上村松篁「蛍」、小松均「若紫」、秋野不矩「浮舟」など、重鎮から若手まで京都画壇の名だたる日本画家が、各々の作品と、各帖への思いを綴った文章も紹介します。