大岩オスカールは、ブラジル移民2世として1965年にサンパウロに生まれました。マンガが大好きな少年時代を過ごした後、サンパウロ大学で建築学を修めます。在学中から美術作品の制作を手がけるようになり、91年の第21回サンパウロ国際ビエンナーレに出品。作家への第一歩を踏み出しますが、この年大岩はサンパウロを離れ、新たな拠点を求めて東京に移住しました。役10年の滞在のあと、2002年に渡米。現在はニューヨークで活躍しています。
本展は、サンパウロから始まる大岩の20年にわたる活動の軌跡を、絵画を中心に振り返る展覧会です。旅を続けてきた大岩は、それぞれの都市で時代や歴史を感じ取りながら世界に向き合ってきました。現実と虚構、あるいは真実に対する等身大の問いかけを常に忘れることなく、揺れ動く現代社会の姿を、豊かな物語性とユーモア、そして鋭い批判精神をもって描き出しています。現実と夢の間を行き来する複眼的なその作品世界は、同時代を生きる私たちに向けて多くの示唆を与えてくれることでしょう。