10世紀ごろ、ヒンドゥー教とともに古代インドの壮大な叙事詩『マハーバーラタ』『ラーマヤナ』がインドネシアに伝えられ、民衆の間に広まりました。やがてこれは影絵人形で演じられるようになりました。これがインドネシアの伝統的な影絵芝居、ワヤン・クリです。
用いられる人形は水牛の革から切り出し、細かいノミで細部を美しく彫りぬいています。操作のための棒も、水牛の角で作られています。
ダランと呼ばれる人形遣いは、登場するすべての人形を一人で操作し、せりふを語り、そして伴奏のガムランに演奏の指示をも下します。有名な叙事詩に基づいてはいても、ダランの即興によって自在に展開するワヤンは、夜を徹して上演されるのです。
ワヤン人形クレスノ 中部ジャワ 20c ダナルト氏寄贈