いのち短かし 恋せよ少女(おとめ)~♪ (〈ゴンドラの唄〉大正4年)
大正時代は《恋の時代》です。竹久夢二、平塚らいてう、柳原白蓮、有島武郎、松井須磨子など有名人の恋は当時のメディアを賑わし、個人主義や大正浪漫主義の風潮が広まるなかで、「新しい女」「モガ・モボ」と呼ばれた人々の自由な恋が人々の話題にのぼる時代でした。
また個々の恋愛事情だけではなく、社会全体が「恋をしていた」時代であったとも言えます。つまり西洋文化への憧れや、古い因習から抜け出して新しい時代への脱却を夢みる人々は、まさに〈恋〉と同質の心のときめきとゆらめきを体験していたのではないでしょうか。「恋する心」は大正人の時代感情そのものでありました。
こうした「恋の時代」の感情(感傷)は、流行画家であった高畠華宵の作品に当然のことながら描かれています。華宵人気は、時代の恋心を見事に映し出したことによると言ってもよいでしょう。
今回の展覧会では、明治的国家主義と昭和初期の軍国主義の合間に花開いた大正文化と華宵作品を〈恋〉というキーワードで見直していきます。
現代のみなさんは〈恋〉をしていますか?・・・