絵本画家,イラストレーターとして知られる黒井健は,昭和22年(1947年)新潟市に生まれました。新潟大学教育学部美術科を卒業したのち,幼児絵本の編集者を経て,昭和48年よりフリーのイラストレーターとして絵本や童話の挿絵等を描くようになります。昭和61年刊行の『ごんぎつね』では,日本画的な色彩による幻想的な味わいの挿絵が高い評価を受け,小学校の国語教科書にも採用されました。その後も色鉛筆とパステルを基調とした柔らかなタッチで,切ない物語の場面,湿潤な空気感のある光景や雲の風景をはじめとした多彩な世界を描き出し,これまで出版した200冊を超える絵本や画集は,大人から子どもまで多くの人々に親しまれています。本展では,代表作『ごんぎつね』,『手ぶくろを買いに』(共に新美南吉作)をはじめとする絵本原画約150点を中心に,スケッチ,彫刻などもあわせ,4つの章と3つのエピソードで展示構成し,黒井健の絵画世界を多角的に紹介します。