悠久の大地インドの風景と、そこに生きる人々を生き生きと描き出したことで知られる日本画家、秋野不矩の展覧会を開催いたします。
秋野不矩は1908年、静岡県浜松市に生まれました。1929年、21歳で京都に出て日本画を学び、翌年、帝展に《野を帰る》を出品し、初入選します。
以後、官展に出品を重ね新進作家として地歩を築いてゆきました。戦後の1948年、新しい日本画を創造しようと決意し、それまでいた日展を脱退し、上村松篁、福田豊四郎、吉岡堅二らとともに在野の日本画団体「創造美術」(現在の創画会)の結成に参加します。
1949年からは、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)で後進の指導にもあたりました。そして1962年、秋野不矩が54歳の時、ビスバ・バラティ大学(現・タゴール国際大学)の客員教授として招かれ、インドに1年間滞在したことにより、彼女の画業はよりスケールの大きなものに変貌を遂げます。厳しくも雄大なインドの大地を、やさしく生命力あふれるイメージで表現した作品の数々は、日本画の新境地を切り拓きました。
初期から晩年に至る日本画約90点、素描約30点、絵本原画約20点、総計約140点を展観します。