大道あやは1909年、広島県の飯室村油木(現在は広島市安佐北区安佐町大字飯室)に生まれ育ち、第二次大戦を経て、61歳になるまで広島で暮らしました。母(丸木スマ)・兄(丸木位里)ともに画家でしたが、あやが絵筆をとったのは60歳のときであり、さまざまな苦難のすえ生きる意欲を失っていたときのことでした。しかしその画面は生命の輝きにあふれ、ユーモラスで愛すべき動物や植物や虫が主人公として大画面いっぱいに輝かしい色彩で描かれています。自分がけとばせばできるほど小さな山だからと名付けた「けとばし山」のふもとに居を構え、畑仕事や草取りをしながら日本画や絵本を制作し、いのちあるものの生きる歓びを高らかに謳いあげてきました。
本展は、2009年に迎える生誕100年を記念して開催する初の本格的回顧展です。沖縄・佐喜眞美術館所蔵の院展や女流画家協会展に入選した日本画作品をはじめ。『こえどまつり』(世界絵本原画展優良賞)などの絵本原画を中心に、多彩な資料もあわせて約140点で構成します。生きることを真摯に受けとめ、その輝きの一瞬一瞬を描いた自由な創作活動の原点をさぐります。