都市部では失われてしまった日本の原風景ともいえる農村の世界。そこに生きるお年寄りたちの素朴で生き生きとした姿を模した人形たちは、表情豊かに私たちに語りかけてくるようです。
「故郷からのおくりもの」展は2003年4月から全国延べ60ヵ所で開催され、約120万人を動員しました。多くの人々に感動を与えた創作人形展が、満を持して北九州市立美術館分館にやってきます。本展では新作を含む人形200点あまりを展示する予定です。
作者の高橋まゆみさんは1956年長野市に生まれました。二十数年前、長野県飯山市に嫁いで以来、この土地の人々の暮らしを主な題材として数々の人形を生み出しています。日本創作人形学院通信教育で人形作りの基礎を学び、試行錯誤を重ねながら独自の創作方法に至りました。近年、高橋さんは農村の日常風景だけでなく、アルツハイマーと闘う夫婦をモチーフとするなど、愛情や優しさを伝える人形を創り続けています。
小さな人形たちが紡ぐ小さな物語に大切な思い出や身近な人の顔を重ね合わせてみると、忘れかけていた大切なものがきっと見つかるはずです。優しさがあふれる懐かしい「故郷」で大切な何かを探してみませんか。