19世紀のフランス。印象派の画家たちは日本の浮世絵の影響を強く受け、後世に残る傑作を生み出しました。またこの日本の芸術文化は工芸分野にも影響を与え、「ジャポニスム」という特異な芸術思潮を生み出しました。
こうしたなか、当代一流の版画家のブラックモン(1833-1914)やセーヴル国立製陶所の装飾画家ランベール(1836-1909)が、当時フランスでブームになっていた北斎や広重などの日本版画から抜き出したモチーフを組み合わせてデザインした皿やカップ&ソーサーは多いに人気を博しました。しかしながらその後製作が途絶えたため、これらの作品は幻のテーブルウェアとなりました。オルセー美術館は19世紀美術全域を扱う美術館として、19世紀ジャポニスムを検証するに欠くことのできないこのフランス陶器「セルヴィス・ルソー(ルソー・セット)」と「セルヴィス・ランベール(ランベール・セット)」の収集を進めてきました。
今回、日仏修好150年を記念して、オルセー美術館のこれらの貴重なコレクションを初めてまとめて紹介いたします。これらのテーブルウェアはまさに日本とフランスの芸術文化と産業の交流を象徴するものであり、この記念すべき年にふさわしいといえるでしょう。また、展覧会にはこれらのテーブルウェアの図柄の元となった日本版画も比較対照できるように展示します。日本美術のフランス芸術文化への影響や、フランス人画家の工夫の跡がうかがえるユニークなトリミング、モチーフの配置の妙をお楽しみください。