世界の熱帯雨林や砂漠から国内の身近な自然環境まで、自然と人の密接な関わりを、美しい映像と親しみやすい文章で伝えつづける今森光彦。東京都写真美術館では、いまもっとも注目されている自然写真家・今森光彦の写真展「昆虫 4億年の旅」を開催します。
1954年滋賀県に生まれた今森は、幼少期より昆虫の生態と美しさに魅了され、世界中の昆虫を求めて精力的に取材活動を行ってきました。既成の生態写真にとらわれない独特な自然観に基づく作品群は、内外で高い評価を受けています。
近年では故郷である琵琶湖周辺を中心に「里山」と呼ばれる環境を見つめ、そこでの人と自然の共生を撮りつづけてきました。その仕事は写真にとどまらず、企画に携わったNHKの番組「映像詩・里山命めぐる水辺」は、世界各国で数々のグランプリを受賞しています。
本展覧会では、彼の代表作である「世界昆虫記」「昆虫記」から新作まで、昆虫の生態を中心に約200点を紹介します。昆虫に注がれる今森のまなざしは、彼らを包みこむ自然、さらには人間の営みにも向けられ、自然と人間との関係をも浮かび上がらせます。
今森のファインダーの中で繰り広げられる神秘と驚異に満ちた昆虫の世界―そこでは科学と芸術が高い次元で共鳴し、私たちに大きな感動を伝えてくれることでしょう。