細川護熙は600年以上にわたる細川家の18代目として1938年に生まれました。また政界では熊本県知事を経て、第79代内閣総理大臣を務めるなど、現代の日本政治に大きな功績を残したことで知られます。
1998年政界を引退した後は、神奈川県湯河原の自然の中での閑居をめざし、晴耕雨読の生活を実践しています。中でも陶芸に関しては、「いいお茶碗に出会うと本当にうれしくて、その世界に近づきたいと思う一心で作っているわけです(晴耕雨読 細川護熙作品集より)」とあるように、信楽、唐津、楽、高麗と心のおもむくまま多岐にわたりますが、いずれも作品からにじみでる深い味わいが、国内外で高い評価を受けています。
今回は茶陶を中心に書、漆など約130点を一堂に展示し、陶芸家細川護熙の魅力を探ります。
◎特別展示 永青文庫の茶陶
永青文庫は旧熊本藩主細川家に伝来する11万2000件に及ぶ文化財の宝庫として知られています。また戦国大名の中にあって「文」に重きを置いた細川家の伝統は当代の護熙氏にも引き継がれ、その美意識の形成にも大きな影響を与えています。
今回は永青文庫の収蔵品の中より14点の茶陶を展示し、細川家に代々流れる美の系譜を御紹介します。