田中保は1886年に埼玉県岩槻市に生まれ、旧制浦和中学校(現・県立浦和高等学校)在学中の父の死とともに事業の金融業が破綻すると単身アメリカ・シアトルに渡る。生活に追われながらも油彩画の勉強をし作品を発表。『裸婦のタナカ』として評価を得る。その後、アメリカの不自由な芸術界を逃れ、フランス・パリにおいてサロンを中心に作品を発表し、高い評価と名声を得る。アーネスト・ヘミングウェイやジェイムス・ジョイスなどの小説家や文学者たちとも振興を結ぶ。しかし、第二次世界大戦中の1941年にフランスで客死したためその活躍は日本国内ではほとんど知られることがなかった。1976年の日本での初個展を契機にその活躍も知られ、研究も進みその評価と関心がたかまっている。
本展は当館のコレクションを中心に、日本初公開となる作品2点を加え、戦前のアメリカとフランスを舞台に国際的な活躍をした田中の作品を紹介します。裸婦像を描くことで知られたt中の肖像画、風景画、静物画にも焦点をあてその実像に迫る展覧会であり、この機会に郷土・埼玉出身の田中保の偉業を広く知っていただければと思います。