“リュトン”とは注ぐための器で、その多くは動物の形状を持っています。その名は古代ギリシアの“流れる”という言葉“レオー”に由来しますが、この種の器の起源は古く、新石器時代の動物形象の器や角形の器に遡ります。古来この動物の形象には重要な意味が込められており、神聖な儀式などで、これら“リュトン”を通し注ぎ出された液体には、特別な力が漲っていたことでしょう。
本展は古代西アジアの動物形象に宿る象徴的意味合いからひも解き、西アジア、中央アジア、地中海地域に展開した注ぐ器、リュトンとその周辺の3000年余りにわたる作品およそ70点を展観します。時に機能性を超えた器に込められた、古代の精神世界を感じて頂けましたら幸いです。