ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829~1896)は、イングランド南部のジャージー島に生まれ、わずか11祭という史上最年少で、ロイヤル・アカデミー(王立美術学校)に入学しました。19歳のときに、絵画の革新を目指して結成した「ラファエル前派兄弟団」の主導的な役割を担います。その後、唯美主義の先鞭をつける作品、子どもを主題とした作品、晩年には、ゴッホに非常に大きな影響を与えた情緒あふれる風景画を描きました。また、英国生まれで準男爵の称号を与えられた初めての画家となりました。
シェイクスピアのハムレットから着想を得た代表作「オフィーリア」は、英国美術の最高傑作といわれています。イギリスでこの絵を見た夏目漱石が小説「草枕」の中で言及し、宮崎駿監督の新しい作品表現のインスピレーションの一つとなった日本でもなじみ深い名画です。
本展は、最新の学術研究に基づき、再評価されたミレイの10代から晩年にいたる画業の全貌を紹介する日本で初めての本格的回顧展です。テート・ブリテンを中心に英国内外の主要美術館の作品約80点を精選して、その表現の変遷を展観します。生涯進取の心を持ち続けたミレイの珠玉の作品をご堪能ください。