川崎市には戦前から多くの沖縄出身者が在住し、川崎市の産業発展の一翼を担われてきました。川崎市の沖縄県人会は大正13年(1924)の発足から84年という長い歴史を有し、戦後すぐから沖縄芸能の保存にも大きく貢献されてきました。また、川崎市出身の芸術家、濱田庄司や佐藤惣之助などは、沖縄の文化と深い関わりを持ったことが知られており、陶芸家、濱田庄司は、自身の作風を確立する上で、沖縄の壷屋の焼き物だけでなく、沖縄の風土・生活様式から大きな影響を受けました。詩人・佐藤惣之助も沖縄に見せられた一人で、「おもろさうし」などに刺激され、詩集を出版しています。戦後には、岡本太郎が占領下の沖縄を訪れ、その文化と伝統に触れて強い衝撃を受けています。このように、川崎と沖縄のつながりはきわめて深いものがあり、市民ミュージアム壷屋焼の陶器や琉球政府から贈られた石敢当などの沖縄関連資料が収蔵されています。
そこで本展では、沖縄と川崎-この二つの地のつながり-をテーマとし、沖縄の伝統的な芸術文化を伝える資料と、それらに影響を受けて創造された美術工芸品などを紹介します。琉球文化の美と魅力に触れていただき、人々の長年にわたり築きあげられてきた沖縄と川崎の絆を感じとっていただければ幸いです。