絵のモチーフとしての“建物”は、たいへん興味深いものといえます。
もともと西洋の絵画が、教会の建築に伴うものとして発生してきたことを考えても、その関係の深さを知ることができます。近代、現代の画家たちは、さらに建築物を描くことをとおして、物の骨組み(コンストラクション)を浮かび上がらせてもきました。
今回の企画点では、1967年の初個展以来、一貫して「建築」「都市」を描いてきた藪野健の作品を一つの柱とし、さらに、手製の小スケッチブックを持ち歩いて街の建物や橋などを取材し、素描から油彩作品を次々と生み出した松本竣介も、コーナーを設けて展示します。
これに笠間日動美術館所蔵の、建物をモチーフとする他の画家たちの作品をもう一つの柱として、[建物をえがく]ことをテーマに展覧会を組み立ててみようとするものです。