1934年旧満州に生まれ、終戦後は長野市で少年期を過ごした池田満寿夫(1934~97)は、1956年に本格的に版画を手がけて以来、1960年に東京国際版画ピエンナーレで文部大臣賞を、1966年にはヴェネツィア・ピエンナーレ版画部門で国際大賞を受賞するなど、若くしてその名を世界的に知られるようになりました。常に新しい表現を求め続けた池田の作風は幾度か大きく変化しますが、さらに彼の興味は美術だけではなく他の分野にも向けられます。1977年には小説「エーゲ海に捧ぐ」で芥川賞を受賞、1979年には自ら監督して同作品を映画化、時にはテレビ出演をこなすマルチアーティストとして、広く一般にも親しまれる存在となります。また、後半生において陶芸制作に没頭し、3000点以上もの陶芸作品を残しました。
20世紀後半の日本を自由奔放に駆け抜けた池田満寿夫が亡くなって11年を経た今、当館の収蔵作家の一人でもある彼の初期から晩年までの多岐にわたる制作活動を紹介しながら、その全貌にせまります。