中国東部の仏教文化を代表する山東省の仏教文化は、中国仏教が日本や高麗に伝わる際に重要な役割を果たして来ました。その山東省では近年、青州をはじめ諸城、臨〓、博興といった地域で、6世紀の北朝時代に造られた石仏が多数出土して、世間の注目をあびました。それらは、幽玄な世界に誘う痩身の仏・菩薩や光背に躍動する華麗な飛天たちなど、西方的な特徴と中国的な特徴とを併せ持った温雅な印象の仏像たちです。また今回の展示作品の中には、青州市の龍興寺の窖蔵(おおきな穴ぐら)で出土した仏像などのように、20世紀中国における仏教造像の重大発見の一つにあげられている作品もあります。山口県と山東省の友好協定締結25周年を記念して開催されるこのたびの交流展は、わが国の飛鳥・白鳳時代の仏教にも通じる、おだやかで神秘的な魅力をたたえた山東省出土の石仏を総合的に紹介するものです。日本初公開の作品を含む77件の石仏で、中国仏教美術の黎明期にあたる、北魏後期から北斉にいたる各時代の造像表現を展観します。
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