庶民文化の華開いた江戸時代。浮世絵は大衆的な芸術であったと同時に情報伝達の重要なメディアでもありました。人気の歌舞伎役者やファッション、美人、街道沿いの宿場、各地の名所や寺社などが色鮮やかに描きだされ、浮世絵には当時の流行や風俗がそのまま反映されています。
18世紀後半、浮世絵の黄金期に登場した喜多川歌麿、東洲斎写楽に代表される美人画、役者絵に続き、風景画のジャンルは19世紀に入ってから確立されました。本展では、歌川広重の名作「東海道五拾三次」(保永堂版)、「五十三次名所図会」(縦絵東海道)と葛飾北斎の「東海道五十三次」小判のシリーズを一堂に展示します。そのほか、歌麿とその流れを汲む絵師たちの美人画、写楽の役者絵、風景画の革命児である北斎の「冨嶽三十六景」などの名品をはじめ、幕末の開港地横浜の風俗を描いた「横浜絵」、伝奇小説や怪談をテーマにした「妖怪絵」、ジグソーパズルのようなユーモアあふれる「寄せ絵」など、幕末に発展をとげた、バラエティーに富む浮世絵あわせて約220点を紹介します。
旅情、人間模様、洒落とユーモアなど江戸時代の生き生きとした情緒あふれる浮世絵の世界をご堪能ください。