創画会の中心的存在の石本正は、1920年島根県那賀郡岡見村(現浜田市三隅町)に生まれ、今年で米寿を迎えました。現在も、美に対する創作意欲は衰えることなく、新作を発表し「美の地平」を切り開いています。石本は、1944年京都市立絵画専門学校日本画科(現京都市立芸術大学)を卒業し、戦地から復員後、1947年第3回日展に「三人の少女」が初入選します。その後、活動を創造美術に移し、1950年の第3回創造美術展に入選し、1956年には創画会の会員となり、以来同会の中心的存在として毎年作品を出品してきました。1970年には京都市立芸術大学教授、86年同大学退職・名誉教授となり、後進の育成にも多大な貢献をしてきました。1971年に新潮社第3回日本芸術大賞、第21回芸術選奨文部大臣賞を受賞するも、以降すべての賞を辞退し、世事を避けてひたすらに絵を描いてきました。
2001年には、自身の故郷三隅町に石正美術館が開館、「石本正展」が開催され、2007年には初の自選展「感動こそ我が命」が開催されました。
この「感動こそ我が命」という信念のもとで、ひたすら自らが納得する絵を描き、「常に未来を見つめて制作したい」と、回顧展を拒み新作を発表し続け多くの作家に影響を与えてきました。
今回の展覧会では、石本正が近年に制作した花・女性像など心で描いた作品約50点に加えて、石本が選んだ次世代に伝えたい25人の作品40点程を紹介します。